Knowledge base for genomic medicine in Japanese
掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/07/22
フォン・ヒッペル・リンドウ病
腫瘍性疾患
OMIM
MedGen ID
指定難病等
要注意の転帰
腎がん
失明
難聴
検査の保険適用
なし
概念・疫学

フォン・ヒッペル・リンドウ病 (VHL病) はVHL遺伝子の機能喪失型変異または欠失によって生じる常染色体劣性遺伝性疾患で、患者の約20%は新生突然変異による。

VHLの診断には家族歴を踏まえた診断基準が用いられる。個々の病変は不完全浸透であるが、VHL遺伝子の変異陽性者は65歳までにほぼ100%の確率で何らかの症状を呈する。 (1) 中枢神経系における血管芽腫は患者の約70%で生じ、主に小脳 (45-70%) 、脊髄 (40-50%) 、脳幹 (10-20%) に発生する。脊髄血管芽腫の80%はVHL病に起因する。小脳の血管芽腫は頭痛・嘔吐・歩行障害や失調を伴うことがある。 (2) 網膜血管芽腫は患者の約40%で生じる。しばしば初発症状となり、進行すると網膜剥離をきたして視力障害の原因にもなりうる。 (3) 腎がんは患者の約40%で生じる。VHL病の患者では腎がんの発生頻度に性差は認められず、発症年齢も10歳代から70歳代と幅広く、平均診断時年齢は30歳代後半である。 (4) 副腎の髄質から生じる腫瘍である褐色細胞腫は約10%の患者で生じ、そのうち10-15%は副腎以外の傍神経節から発生する。また、大部分は良性だが、2-6%で悪性例がみられる。 (5) 膵神経内分泌腫瘍 (PNET) は欧米の報告によると8-17%の患者でみられ、日本においても同様の傾向を示す。発症のピークは30-40歳である。VHL病に合併するPNETはほとんどが非機能性であるため、発見時に無症状の患者も少なくない。膵のう胞は7-71%の患者でみられ、30歳代で発見される患者が多い。 (6) 内耳リンパ嚢腫自体は稀な疾患であるが、VHL病の患者では約15%で発生する。耳鳴り、めまい、顔面の違和感などを伴い、進行が早い例では聴覚障害を起こす。

VHL病の頻度は36,000出生あたり1人、新生突然変異率は配偶子1,000,000あたり4.4人と推測されている。

予後

腎がんの発生は患者の約40%に達し、これがVHLにおける最大の死因となる。

治療

全ての腫瘍に対して腫瘍摘出か臓器摘出術を行って治療する。網膜の血管腫はレーザー焼灼術で治療することもある。脳腫瘍に関してはガンマナイフを用いることもあるが、治療成績は不明である。

Genes
Gene symbolOMIMSQM scoring*
Genomics England
PanelApp
PhenotypeVariant information
VHL19330011CC/10CBVHLS (AD)https://omim.org/allelicVariants/608537
CCND1193300N/AVHLS, modifier of (AD)https://omim.org/allelicVariants/168461
*ClinGen Actionability Working GroupのSemi-quantitative Metric (SQM) scoring、Outcome/Intervention Pairに関する情報は https://clinicalgenome.org/working-groups/actionability/projects-initiatives/actionability-evidence-based-summaries/ を参照。
欧米人での遺伝子頻度

500を超えるVHL遺伝子の生殖細胞系列の病的バリアントが同定されている (GeneReviewsより引用)。VHLと判明している945家系について解析したところ、VHL遺伝子の病的バリアントの52%はミスセンス、13%はフレームシフト、11%はナンセンス、6%はインフレーム欠失/挿入、11%は部分欠失/全欠失、7%はスプライス部位の変異であった (Hum Mutat. 2010. PMID: 20151405)。

日本人での遺伝子頻度

日本人のVHL77家系において、VHL遺伝子のシークエンス解析を行った結果、55家系 (73%) に生殖細胞系列の病的バリアントを認めたという報告がある (Jpn J Cancer Res. 2000. PMID: 10761708)。

掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/07/22