Knowledge base for genomic medicine in Japanese
掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/06/01
先天性第XI因子欠乏症
小児・神経疾患
OMIM
MedGen ID
GeneReviews
なし
指定難病等
なし
ガイドライン等
なし
要注意の転帰
過剰出血・遷延出血
検査の保険適用
なし
概念・疫学

先天性第XI因子欠乏症 (Factor XI Deficiency: FXI Deficiency) は、F11遺伝子の変異により生じる常染色体劣性遺伝性疾患である。無症状も多く、出血症状は比較的軽度である。血友病A及びBとは異なり、軟部組織や関節内の自然出血は極めて少ない。臨床検査所見としては、PT正常、APTT延長、第XI因子活性及び抗原量低下を認める。線溶活性が亢進するため、口腔、咽頭、前立腺などの線溶活性の高い部位での手術や外傷、抜歯時に強い出血傾向が現れる。外傷や抜歯、手術時の過剰出血、遷延出血などを契機に発見されることがあるが、術前検査などでAPTT延長により発見される例もある。出血重症度は、第XI因子活性とは必ずしも相関しない。それは、血小板には第XI因子様活性が存在し血漿中の欠乏した第XI因子活性を代償しているため、または外因系の組織トロンボプラスチンと第VII因子複合体が、内因系凝固カスケードでの第XI因子より下流の第IX因子を直接活性化しているためと考えられている。第XI因子活性に人種や性別による差はないが、一部の症例では病的バリアントの種類と第XI因子活性とが相関することが示されている (N Engl J Med. 1991. PMID: 2052060) 。

有病率は1,000,000人に1-33人と推定されており、ホモ接合体は1,000,000人に1人である。人種的にはユダヤ人に多く、次いで日本人での報告が多い (日本臨牀. 719-721. 2010)。アシュケナージ系ユダヤ人での頻度は、ヘテロ接合体が8-9%、ホモ接合体が0.2%-0.5%でみられる (ClinGenより引用)。平成26年度血液凝固異常症全国調査 (厚生労働省委託事業) で報告された、わが国の患者数は男性22名、女性15名の計37名である。

予後

生命予後は健常成人と同等と考えられている。

治療

第XI因子には濃縮製剤が存在しないため、その補充には新鮮凍結血漿 (FFP) 輸血が有効な治療法である。線溶活性が高い部位での手術、外傷、抜歯時には抗線溶療法が有効である。

Genes
Gene symbolOMIMSQM scoring*
Genomics England
PanelApp
PhenotypeVariant information
F1161241610CNFactor XI deficiencyhttp://omim.org/allelicVariants/264900
*ClinGen Actionability Working GroupのSemi-quantitative Metric (SQM) scoring、Outcome/Intervention Pairに関する情報は https://clinicalgenome.org/working-groups/actionability/projects-initiatives/actionability-evidence-based-summaries/ を参照。
欧米人での遺伝子頻度

アシュケナージ系ユダヤ人のFXID患者125名において、28人 (22.4%) はII型の病的バリアントであるGlu177Stopのホモ接合体であり、28人 (22.4%) はIII型の病的バリアントであるPhe283Leuのホモ接合体であった。II型とIII型の複合ヘテロ接合体は65人 (52.0%) であった (Blood. 1995. PMID: 7811996)。

日本人での遺伝子頻度

現時点で日本人患者における遺伝子頻度解析に関する原著論文は見当たらないようである。

掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/06/01