Knowledge base for genomic medicine in Japanese
掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/07/03
筋ジストロフィー
小児・神経疾患
MedGen ID
指定難病等
要注意の転帰
呼吸不全
心不全
不整脈
検査の保険適用
あり
概念・疫学

筋ジストロフィー (Muscular Dystrophy: MD) は骨格筋の壊死・再生を主病変とし進行性の筋力低下をみる遺伝性筋疾患で、50以上の原因遺伝子が解明されてきている。骨格筋障害に伴う運動機能障害を主症状とするが、関節拘縮・変形、呼吸機能障害、心筋障害、嚥下機能障害、消化管症状、骨代謝異常、内分泌代謝異常、眼症状、難聴、中枢神経障害等を合併することも多い。すなわち、筋ジストロフィーは、骨格筋以外にも多臓器が侵され、集学的な管理を要する全身性疾患である。代表的な病型としては、ジストロフィン異常症 (デュシェンヌ型 (DMD)/ベッカー型 (BMD) 筋ジストロフィー)、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー (EDMD)、肢帯型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、眼咽頭筋型筋ジストロフィー、福山型先天性筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィーなどがある。遺伝形式 (X連鎖性、常染色体優性、常染色体劣性) による分類が行われてきたが、原因遺伝子が明らかにされて、それに基づいた疾患分類が試みられるようになっている。筋ジストロフィー自体の頻度は、遺伝学的な確定症例が限られていることと、過去に異なる診断基準が使用されていたことにより、正確には分かっていない。罹患者数が比較的多いのは3病型で、DMD>BMD>EDMDの順という報告がある (GeneReviewsより引用)。

予後

病型により予後は異なる。生命予後に強い影響を及ぼすのは呼吸不全、心不全、不整脈、嚥下障害等である。定期的な機能評価・合併症検索と適切な介入が生命予後を左右する。

治療

いずれの病型においても根本的な治療法はない。デュシェンヌ型に対する副腎皮質ステロイド薬の限定的効果、リハビリテーションによる機能維持、補助呼吸管理や心臓ペースメーカーなどの対症療法にとどまる。

Genes
Gene symbolOMIMSQM scoring*
Genomics England
PanelApp
PhenotypeVariant information
DMD310200N/ADMD (XLR)https://www.omim.org/allelicVariants/300377
N/A158900N/AFSHD1
DMD300376N/ABMD (XLR)https://www.omim.org/allelicVariants/300377
LMNA613205N/AMDCL (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/150330
LMNA1813507DC/6DC/5DAEDMD2 (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/150330
LMNA616516N/AEDMD3 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/150330
EMD3103007DC/6DC/5DAEDMD1 (XLR)https://www.omim.org/allelicVariants/300384
SYNE1612998N/AEDMD4 (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/608441
SYNE2612999N/AEDMD5 (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/608442
FHL13006967DC/6DC/5DAEDMD6 (XLR)https://www.omim.org/allelicVariants/300163
TMEM43614302N/AEDMD7 (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/612048
LAMA2607855N/AMDC1A (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/156225
FKTN253800N/AMDDGA4 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/607440
FKTN613152N/AMDDGB4 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/607440
FKTN611588N/AMDDGC4 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/607440
FKRP613153N/AMDDGA5 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/606596
FKRP606612N/AMDDGB5 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/606596
FKRP607155N/AMDDGC5 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/606596
DAG1616538N/AMDDGA9 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/128239
DAG1613818N/AMDDGC9 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/128239
COL6A1254090N/AUCMD1 (AD, AR)https://www.omim.org/allelicVariants/120220
COL6A2254090N/AUCMD1 (AD, AR)https://www.omim.org/allelicVariants/120240
COL6A3254090N/AUCMD1 (AD, AR)https://www.omim.org/allelicVariants/120250
POMT1236670N/AMDDGA1 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/607423
POMT1613155N/AMDDGB1 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/607423
POMT1609308N/AMDDGC1 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/607423
POMT2613150N/AMDDGA2 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/607439
POMT2613156N/AMDDGB2 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/607439
POMT2613158N/AMDDGC2 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/607439
LARGE1613154N/AMDDGA6 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/603590
LARGE1608840N/AMDDGB6 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/603590
POMGNT1253280N/AMDDGA3 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/606822
POMGNT1613151N/AMDDGB3 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/606822
POMGNT1613157N/AMDDGC3 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/606822
ISPD614643N/AMDDGA7 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/614631
ISPD616052N/AMDDGC7 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/614631
SELENON602771N/ARSMD1 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/606210
*ClinGen Actionability Working GroupのSemi-quantitative Metric (SQM) scoring、Outcome/Intervention Pairに関する情報は https://clinicalgenome.org/working-groups/actionability/projects-initiatives/actionability-evidence-based-summaries/ を参照。
欧米人での遺伝子頻度

X連鎖遺伝病であるDMDとBMDにおいてはDMD遺伝子が唯一の原因遺伝子である。DMDとBMDの罹患者において、病的バリアントの60-70%は1つ以上のエクソンの欠失であり、一塩基バリアントは、DMD罹患男性で病的バリアントの25-35%、BMD罹患男性で病的バリアントの10-20%を占める。欠失や一塩基バリアントが認められなかった患者の多くが重複変異である。

また、EDMDのうち、X連鎖EDMDは~61%がEMD遺伝子、~10%がFHL1遺伝子に、常染色体優性EDMDは~45%がLMNA遺伝子に病的バリアントを認めたという報告がある (GeneReviewsより引用)。

日本人での遺伝子頻度

日本人のDMD患者583人とBMD患者105人において、DMD遺伝子のエクソンの欠失がそれぞれ61.4%と79.0%に認められ、点変異は24.5%と14.3%に認め、重複は13.6%と4.8%に認めたという報告がある (Orphanet J Rare Dis. 2013. PMID: 23601510)。

掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/07/03