Knowledge base for genomic medicine in Japanese
掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/07/14
家族性高コレステロール血症
循環器・内分泌疾患
OMIM
MedGen ID
指定難病等
要注意の転帰
LDLコレステロール高値
早発性冠動脈硬化症
検査の保険適用
なし
概念・疫学

家族性高コレステロール血症 (Familial Hypercholesterolemia: FH) は、Low Density Lipoprotein (LDL) 受容体関連遺伝子の変異による遺伝性疾患であり、(1) 高LDLコレステロール (LDL-C) 血症、(2) 早発性冠動脈疾患、(3) 腱・皮膚黄色腫を3主徴とする常染色体優性遺伝性疾患である。稀に常染色体劣性FHが存在する。高 LDL-C 血症に加え、LDL 受容体などの LDL 代謝に関わる遺伝子に変異が確認されれば確定診断となる。FHは遺伝的背景のない高コレステロール血症に比べてLDL-C増加の程度が著しく動脈硬化の進展は早く、それに伴う臓器障害の程度も強いため、動脈硬化性疾患の予防を目的としたLDL-C低下治療が必要である。FHヘテロ接合体患者は500人に1人以上、FHホモ接合体患者は1,000,000人に1人以上の頻度で認められ、わが国におけるFH患者総数は、250,000人以上と推定される (日本動脈硬化学会ホームページ<http://www.j-athero.org/specialist/fh_s.html>より抜粋)。

予後

早期に診断し、早期に薬物療法などの適切な治療を開始することにより、動脈硬化の発症・進展を遅らせる効果が期待できる。一方、未治療では動脈硬化が顕著に進行し、予後は不良である。FHホモ接合体では、乳幼児期に、大動脈弁上狭窄/弁狭窄、冠動脈狭窄が出現し、進行して30歳までに狭心症、心筋梗塞、突然死を引き起こすことが知られている。

治療

FHの治療の基本は、冠動脈疾患など若年齢で起きる動脈硬化症の発症及び進展の予防であり、早期診断と厳格な治療が最も重要である。FHホモ接合体の治療では、出来るだけ早期に診断を下し、低脂肪食などの正しい食生活を子供時代から身につけると同時に、スタチンを第一選択薬とした薬物療法が必要である。薬物療法で十分な効果が得られない場合、LDLアフェレシスの適応となる。

Genes
Gene symbolOMIMSQM scoring*
Genomics England
PanelApp
PhenotypeVariant information
LDLR143890FHCL1 (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/606945
APOB144010FCHL2 (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/107730
PCSK9603776FHCL3 (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/607786
LDLRAP1603813N/AFHCL4 (AR)https://www.omim.org/allelicVariants/605747
PCSK9603776LDL cholesterol level QTL 1 (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/607786
LDLR143890LDL cholesterol level QTL2 (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/606945
APOA2143890N/AHypercholesterolemia, familial, modifier of (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/107670
EPHX2143890N/AHypercholesterolemia, familial, due to LDLR defect, modifier of (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/132811
GHR143890N/AHypercholesterolemia, familial, modifier of (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/600946
GSBS (PPP1R17)143890N/AHypercholesterolemia, susceptibility to (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/604088
*ClinGen Actionability Working GroupのSemi-quantitative Metric (SQM) scoring、Outcome/Intervention Pairに関する情報は https://clinicalgenome.org/working-groups/actionability/projects-initiatives/actionability-evidence-based-summaries/ を参照。
欧米人での遺伝子頻度

遺伝学的検査での頻度は、LDLR遺伝子の病的バリアントが60-80%、APOBの病的バリアントは1-5%、PCSK9の病的バリアントは0-3%であり、unknownの割合は20-40%と推測されている (GeneReviewsより引用)。

日本人での遺伝子頻度

25名のホモ接合体患者において、true homozygoteが15名 (LDLRのhomozygoteが13名、PCSK9のhomozygoteが2名) で、compound mutationsが10名 (LDLR内のcompound heterozygoteが7名、LDLRとPCSK9のdigenic heterozygoteが3名) であり、APOBの病的バリアントは認められなかったとの報告がある (Atherosclerosis. 2011. PMID: 21146822)。

ヘテロ接合体患者においてLDLR遺伝子を調べたところ、比較的高頻度な病的バリアントは8つあり、そのうち、L547V (p.Leu568Val; g.11226885C>G GRCh37) 変異のphenotypeはマイルドで、一般集団中にも0.08% (3,655名中で3名のヘテロ接合体) 認められた (Atherosclerosis. 2009. PMID: 18718593)。

LSDB

LOVD, British Heart Foundation

820 disease causing variants at LDLR (http://www.ucl.ac.uk/ldlr/LOVDv.1.1.0/) ;

3 unique variants at PCSK9 (http://databases.lovd.nl/shared/genes/PCSK9) ;

13 unique variants at APOB (http://databases.lovd.nl/shared/genes/APOB)

掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/07/14