Knowledge base for genomic medicine in Japanese
掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/06/02
家族性副甲状腺機能亢進症 (MEN以外)
循環器・内分泌疾患
MedGen ID
指定難病等
なし
要注意の転帰
副甲状腺がん
検査の保険適用
なし
概念・疫学

家族性副甲状腺機能亢進症の多くは多発性内分泌腫瘍症1型 (Multiple Endocirine Neoplasia Type 1: MEN1) によるものであるが、MEN1以外の家族性副甲状腺機能亢進症 (HRPT1/2) には、副甲状腺機能亢進症顎腫瘍症候群 (HPT-JT) や家族性孤発性副甲状腺機能亢進症 (FIHP) があり、これらはCDC73関連副甲状腺腫瘍に含まれる。HPT-JTは副甲状腺の腺腫あるいはがん、顎腫瘍、腎腫瘍、子宮病変を主徴とする常染色体優性遺伝疾患で、その原因遺伝子はCDC73である。確定診断はCDC73の遺伝学的検査によってなされる。HPT-JTの初発時には、副甲状腺腫瘍は1腺あるいは2腺腫大までのことが多く、一見すると散発性の副甲状腺腫と見間違える。副甲状腺機能亢進症発端者が若年発症で臨床的にMENの可能性が低く、副甲状腺機能亢進症を術後再発している場合、そして顎腫瘍や腎腫瘍などを合併している場合は、 HPT-JTを強く疑う。FIHPは、家族性に副甲状腺機能亢進症のみが認められる (非症候性) 場合で、副甲状腺の腺腫あるいはがんを発生する常染色体優性遺伝疾患である。FIHPでは、MEN1、CDC73、CASR遺伝子などに病的バリアントが見られる。HPT-JTやFIHPの有病率に関する現時点での報告は見当たらないが、MEN1の罹病率 (約30,000人に1人) よりは低いと推測されている。

予後

70-95%のHPT-JT患者に、副甲状腺機能亢進症が認められ、年齢とともに有徴候者の割合は上昇する。ほとんどの症例では単発の良性副甲状腺腺腫が認められるが、10-15%で副甲状腺がんが発症する。

治療

副甲状腺腫瘍に対しては外科的切除の適応となるが、どのような手術法がよいのかについては、まだ統一された見解がない。HPT-JTに合併した顎腫瘍の治療法は外科的切除であり、有効な薬剤はまだ知られていない。

Genes
Gene symbolOMIMSQM scoring*
Genomics England
PanelApp
PhenotypeVariant information
CDC7314500011CC/9CC/8CCHRPT1 (AD)https://omim.org/allelicVariants/607393
CDC7314500111CC/9CC/8CCHRPT2 (AD)https://omim.org/allelicVariants/607393
CDC7360826611CC/9CC/8CCParathyroid carcinomahttps://omim.org/allelicVariants/607393
*ClinGen Actionability Working GroupのSemi-quantitative Metric (SQM) scoring、Outcome/Intervention Pairに関する情報は https://clinicalgenome.org/working-groups/actionability/projects-initiatives/actionability-evidence-based-summaries/ を参照。
欧米人での遺伝子頻度

CDC73遺伝子の病的バリアントは、FIHP家系の約7%、一見散発性の副甲状腺がんの20-29%、一見散発性に見える若年発症 (<45歳) の原発性副甲状腺機能亢進症の約1%に認めるという報告がある (GeneReviewsより引用)。

副甲状腺がんは、副甲状腺腫瘍の中でも約1%と非常に稀な疾患であるが、副甲状腺がんと判明した場合は、家族歴がなくてもCDC73遺伝学的検査を考慮する。なお、CDC73関連副甲状腺腫瘍におけるde novo変異の頻度は不明である。

日本人での遺伝子頻度

現時点で日本人家族性副甲状腺機能亢進症患者における遺伝子頻度解析に関する原著論文は見当たらないようである。

掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/06/02