Knowledge base for genomic medicine in Japanese
掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/07/22
カテコラミン誘発性多形性心室頻拍
循環器・内分泌疾患
MedGen ID
指定難病等
ガイドライン等
要注意の転帰
心臓突然死
検査の保険適用
なし
概念・疫学

カテコラミン誘発性多形性心室頻拍 (Catecholaminergic Polymorphic Ventricular Tachycardia: CPVT) は、器質的心疾患が認められない者において、主に幼児期以後の小児期 (好発年齢は7-10歳で性差なし) に失神などで発症し、運動や興奮時に多形性または二方向性心室頻拍が誘発されて、そのまま心室細動に移行すれば致死的となる。運動もしくはカテコラミン投与により誘発される。無治療の場合、約30%の患者は少なくとも1回の心停止を経験し、1回以上の失神発作の比率は80%にものぼる。心停止が初発症状である症例もしばしば見られる。安静時心電図は診断に役立たず、運動負荷試験での不整脈の評価が重要である。

40歳以下での突然死の家族歴を有するCPVTの発端者は約30%である。正確な有病率は不明であるが、一般集団中で10,000名に1人程度であり、他の遺伝性不整脈疾患よりも相当低頻度と推定されている。

これまでにCPVT関連遺伝子座位は5カ所以上報告されており、常染色体優性 (AD) と常染色体劣性 (AR) の両遺伝形式をとるものがある (下表)。

予後

CPVTの予後は総じて不良であり、少し古いが (2003年) 最初に診断されてから10年以内の致死率が約40%という報告もある。

治療

β遮断薬は不整脈を抑制してCPVTの予後を改善するが、その効果は不完全であり、フレカイニドのほうが有効な例もある。β遮断薬に不応な症例などでは、突然死予防にICD植込みも推奨されている。薬物療法やICD治療に抵抗性の難治例では、さらに交感神経切除術が考慮される。

Genes
*ClinGen Actionability Working GroupのSemi-quantitative Metric (SQM) scoring、Outcome/Intervention Pairに関する情報は https://clinicalgenome.org/working-groups/actionability/projects-initiatives/actionability-evidence-based-summaries/ を参照。
欧米人での遺伝子頻度

遺伝学的検査での頻度は、RYR2 (CPVT1) の病的バリアントが50-55%と最も高く、CASQ2 (CPVT2) が2-5%、TRDN (CPVT5) が1-2%と続き、unknownの割合は20-40%と推測されている。RYR2変異の浸透率は高く、同変異を有するCPVTで無症状の症例は比較的少ないと考えられる (GeneReviewsより引用)。

日本人での遺伝子頻度

日本人CPVT症例の発端者50名を調べたところ、RYR2 (CPVT1) の病的バリアントが56%、CASQ2 (CPVT2) が2%、KCNJ2が2%見られた。CPVT発端者がRYR2遺伝子の病的バリアントを保持している場合、陰性の場合に比べて、その血縁者がCPVTと診断される比率 (33.3% vs 5%) は有意に高かった (Circ J. 2013. PMID: 23595086)。

掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/07/22