Knowledge base for genomic medicine in Japanese
掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/05/13
バート・ホッグ・デュベ症候群
腫瘍性疾患
OMIM
MedGen ID
指定難病等
ガイドライン等
なし
要注意の転帰
多発腎がん
検査の保険適用
なし
概念・疫学

バート・ホッグ・デュベ症候群 (BHD) 症候群は、主として (1) 20 代から多発性肺嚢胞を有し高率に気胸を繰り返す、(2) 中高年になり腎腫瘍を発生する、(3) 顔面などに皮疹を生じる、の3つを特徴とする、Folliculin (FLCN) 遺伝子の異常による常染色体優性遺伝の疾患である。腫瘍診断時年齢の中央値は48歳である。BHD症候群は臨床所見と分子遺伝学的検査によって診断される。欧米ではすでに充実した BHD 診療ネットワークが機能しており、米国では約 400人の患者が国立がん研究所を中心とした基盤診療機関に登録されている。 一方、わが国における BHD 有病率は不明で、多くの BHD 患者が未診断のまま放置されていると推測される。平成25年度研究班が収集した情報では遺伝学的検査未施行例を含めて国内に約 100 家系、300人程度が BHD 症候群患者と推定される。

予後

BHD症候群の重症度は、罹患家系内でも家系間でも著しく異なる。BHD症候群患者は、非罹患同胞に比べて腎腫瘍のリスクが7倍上昇する (Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2002. PMID: 11927500) という報告や、BHD症候群51家系中25家系 (49%) に腎腫瘍を認めたという報告があるが (J Med Genet. 2008. PMID: 18234728)、BHD症候群とその予後に関する正確な報告は見当たらないようである。

治療

各症状に応じた治療を行う。生命予後に直接影響する腎がんに関しては、早期発見による腎温存手術が推奨されるが、両側性腎がんや転移性腎がんで発見された場合、散発性腎がんに準じた集学的治療が施行される。 BHD関連腎がんに特化した治療法はまだ研究途上である。気胸に対しては、特発性気胸に準じた治療が施行されてきたが、反復性気胸を軽減するためのメッシュを用いたカバー術が報告され、その治療成績が極めて良好であることから、今後普及する可能性がある。

Genes
Gene symbolOMIMSQM scoring*
Genomics England
PanelApp
PhenotypeVariant information
FLCN1351509NCBHD (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/607273
*ClinGen Actionability Working GroupのSemi-quantitative Metric (SQM) scoring、Outcome/Intervention Pairに関する情報は https://clinicalgenome.org/working-groups/actionability/projects-initiatives/actionability-evidence-based-summaries/ を参照。
欧米人での遺伝子頻度

BHD症候群58家系のシークエンス解析により、51家系 (88%) でFLCN遺伝子の病的バリアントを同定したという報告がある (J Med Genet. 2008. PMID: 18234728)。他の解析法で、FLCN遺伝子の部分あるいは全欠失が3-5%で認められる。臨床診断基準を満たす患者のうち7-9%で、FLCN遺伝子の病的バリアントが同定できない。

日本人での遺伝子頻度

現時点で、日本人BHD症候群に関する遺伝子頻度解析に関する原著論文は見当たらないようである。

掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/05/13