Knowledge base for genomic medicine in Japanese
掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/05/20
遺伝性パラガングリオーマ・褐色細胞腫症候群
循環器・内分泌疾患
MedGen ID
指定難病等
要注意の転帰
悪性腫瘍化
検査の保険適用
なし
概念・疫学

遺伝性パラガングリオーマ・褐色細胞腫 (PGL/PCC) 症候群は、副腎髄質や副腎外の傍神経節腫瘍が特徴である。若年発症、多発・両側性病変、再発、悪性例、家族例の存在はPGL/PCCを疑う。原因遺伝子はいずれも常染色体優性遺伝形式を示す。交感神経由来のパラガングリオーマはカテコールアミンを過剰分泌するが、副交感神経由来のパラガングリオーマはしばしば非分泌性である。副腎外では、副交感神経由来のパラガングリオーマのほとんどが頭頚部に発生し、その95%はカテコールアミンを分泌しない。対照的に、交感神経由来のパラガングリオーマは胸部・腹部・骨盤に発症し、典型例ではカテコールアミンを過剰分泌する。褐色細胞腫は副腎髄質から発生しカテコールアミンを過剰分泌する。褐色細胞腫・パラガングリオーマの症状は、腫瘍自体の占拠効果によるものとカテコールアミン過剰分泌による持続性もしくは発作性の高血圧、頭痛、突然の発汗・動悸・不安感等からなる。悪性化のリスクは、副腎外の交感神経由来のパラガングリオーマにおいて、褐色細胞腫や頭頚部 (副交感神経由来) のパラガングリオーマよりも高い。約30%は単一遺伝子に起因し、他の腫瘍を伴うもの (MEN2、VHL、NF1) と伴わないものがある。他の腫瘍を伴わないものの中では、SDHBもしくはSDHD変異によるものが多い。SDHB変異によるものは腹部傍神経節細胞腫及び悪性例が高頻度に認められ、SDHD変異によるものはカテコラミン分泌性の頭頸部原発の多発傍神経節細胞腫が高頻度に認められる。

PGL/PCCの正確な頻度は不明であるが、年間発症率は300,000人に1人とされている。

予後

90%近くは良性腫瘍であり、転移していないPGL/PCCは手術での腫瘍摘出により治癒が見込まれる。ただし一旦悪性化した場合には、5年生存率50%と予後は良くない。

治療

褐色細胞腫のようなカテコールアミン過剰分泌腫瘍には、まずアドレナリン受容体拮抗薬を投与し、その後手術を行う。頭頚部パラガングリオーマのような非分泌性腫瘍に対しては手術を行う。SDHB変異陽性のPGL/PCCの患者は、悪性化するリスクが高いためできるだけ速やかに切除を行うべきである。

Genes
Gene symbolOMIMSQM scoring*
Genomics England
PanelApp
PhenotypeVariant information
SDHD16800011CB/10CCPGL1 (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/602690
SDHAF260165011CBPGL2 (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/613019
SDHC60537311CBPGL3 (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/602413
SDHB11531011CBPGL4 (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/185470
SDHA61416511CBPGL5 (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/600857
MAX17130011CBPheochromocytoma, susceptibility to (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/154950
TMEM12717130011CBPheochromocytoma, susceptibility to (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/613403
*ClinGen Actionability Working GroupのSemi-quantitative Metric (SQM) scoring、Outcome/Intervention Pairに関する情報は https://clinicalgenome.org/working-groups/actionability/projects-initiatives/actionability-evidence-based-summaries/ を参照。
欧米人での遺伝子頻度

シークエンス解析での原因遺伝子の検出頻度は、 SDHDの変異が~30%、SDHBの変異が22-38%、SDHAの変異が0.6-3%であり、SDHCの変異はシークエンス解析と欠失/重複変異解析を合わせて4-8%である (GeneReviewsより引用)。

日本人での遺伝子頻度

日本人PGL/PCC患者における遺伝子頻度解析については筑波大学の報告 (http://tsukuba-laboratorymedicine.com/page2_3.html) があり、178例の発端者中の66例 (37%) で、7つの原因遺伝子に変異が認められた (SDHD 11%、SDHB 47%、SDHA 2%、VHL 21%、RET 6%、TMEM127 6%、MAX 8%)。

掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/05/20