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遺伝性乳がん・卵巣がん症候群
腫瘍性疾患
MedGen ID
指定難病等
なし
要注意の転帰
進行卵巣がん
同側・対側乳がん発生
検査の保険適用
あり
概念・疫学

BRCA1遺伝子及びBRCA2遺伝子に関連した遺伝性乳がん・卵巣がん症候群 (Hereditary Breast and Ovarian Cancer syndrome: HBOC) は、女性の乳がん・卵巣がん (卵管がんや原発性腹膜がんも含む)、男性の乳がんをはじめとするがんの易罹患性症候群であり、常染色体優性遺伝形式をとる。またこれらのがんよりは低いものの、前立腺がん、膵がんのリスクが上昇し、特にBRCA2遺伝子に病的バリアントを有する患者では、悪性黒色腫のリスクも上昇する。遺伝性乳がん卵巣がんの原因が BRCA1遺伝子、BRCA2遺伝子のいずれの病的バリアントであるかにより発がんリスクは異なる。BRCA 変異保持者の乳がんの累積罹患リスクは、70 歳においてBRCA1で57%、BRCA2で40%とされる。BRCA 変異保持者の卵巣がんの累積罹患リスクは,70歳においてBRCA1で40%、BRCA2で18%とされる。HBOCの診断は、BRCA1及びBRCA2遺伝子の遺伝学的検査により行う。

BRCA1遺伝子や BRCA2遺伝子に関連したHBOCは、遺伝性の乳がんや卵巣がんの中で最も頻度が高く全ての民族・人種で発症するが、アシュケナージ系ユダヤ人で特に高頻度である。アシュケナージ系ユダヤ人を除く一般集団でのBRCA1/2病的バリアントを保持している頻度は、400-500人中に1人と推定されている。アシュケナージ系ユダヤ人における、3つの病的バリアント (BRCA1 c.68_69delAG, BRCA1 c.5266dupC, BRCA2 c.5946delT) の頻度を合計すると40人中1人となる。

予後

BRCA1/2遺伝子の病的バリアント保有者での生涯にわたる乳がんのリスクは46%から87%と言われる。BRCA1/2遺伝子の病的バリアントの存在自体は、腫瘍のステージ (病期) を調整した場合、乳がんと診断された後のがんの転帰そのものには影響せず、BRCA変異を持たない散発性の乳がんと比べて生存への影響に有意な違いはないようである。

治療

BRCA1/2遺伝子の病的バリアントをもつ女性での同側・対側乳がんの発症率が高いため、乳がんの主要な外科的治療として両側乳房切除を検討するとよいとしている (NCCN (National Comprehensive Cancer Network) のガイドライン)。一方、卵巣がんや他のがんへの治療は、BRCA1/2遺伝子に病的バリアントをもつ場合でも孤発症例のがん治療と同じである。

Genes
Gene symbolOMIMSQM scoring*
Genomics England
PanelApp
PhenotypeVariant information
BRCA160437010AA/9AA/8AABROVCA1 (AD, multifactorial)https://www.omim.org/allelicVariants/113705
BRCA261255510AA/9AA/8AABROVCA2 (AD)https://www.omim.org/allelicVariants/600185
RAD51C613399N/ABROVCA3, susceptibility to,https://www.omim.org/allelicVariants/602774
RAD51D614291N/ABROVCA4, susceptibility to,https://www.omim.org/allelicVariants/602954
*ClinGen Actionability Working GroupのSemi-quantitative Metric (SQM) scoring、Outcome/Intervention Pairに関する情報は https://clinicalgenome.org/working-groups/actionability/projects-initiatives/actionability-evidence-based-summaries/ を参照。
欧米人での遺伝子頻度

遺伝性乳がんの約15%はBRCA1/2の変異で説明され、HBOCに占める病的バリアントの頻度は、BRCA1が66% (2/3)、BRCA2が34% (1/3) とされている。BRCA1/2遺伝子でシークエンス解析手法により病的バリアントを同定する割合は、両遺伝子とも80%以上であり、さらに追加の~10%が欠失/重複解析によって同定される (GeneReviewsより引用)。

日本人での遺伝子頻度

日本人135人の乳がん/卵巣がん患者に対してBRCA1/2遺伝子の全コード領域の検索を行った結果、10人 (7.4%) の患者に病的バリアントを認め (BRCA1とBRCA2が5人ずつ)、そのうち3人の変異は過去に報告のない新規変異だったという報告がある (Mol Genet Genomic Med. 2015. PMID: 25802882)。

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