Knowledge base for genomic medicine in Japanese
掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/05/13
遺伝性平滑筋腫症−腎細胞がん症候群
腫瘍性疾患
OMIM
MedGen ID
指定難病等
なし
ガイドライン等
なし
要注意の転帰
腎がん
検査の保険適用
なし
概念・疫学

遺伝性平滑筋腫症ー腎細胞がん症候群 (Hereditary Leiomyomatosis and Renal Cell Cancer: HLRCC)は、皮膚平滑筋腫 (保因者の76%に、単一もしくは複数病変として見られる)、子宮平滑筋腫 (子宮筋腫) や単発性腎がんを特徴とする腫瘍性疾患である。皮膚平滑筋腫は薄茶色の丘疹または結節として、四肢や体幹、しばしば顔にも分布する。平均25歳で発症し、加齢とともにその大きさや数は増加する。子宮平滑筋腫はHLRCCの女性患者のほとんどに見られ、多発性で大きくなりやすい。診断年齢は18歳から52歳で、患者のほとんどが月経不順、過多月経、骨盤痛を経験する。腎がんは、HLRCC患者のうち10-16%に発症し (診断年齢の中央値は44歳)、血尿、腰背部痛をきたす。その腫瘤は触診できる程の大きさで、通常片側性・単発性で進行が速く、組織学的には乳頭状腎細胞がん2型や、管状乳頭状腎細胞がん、集合管がんの像を呈する。

HLRCCは、がん抑制遺伝子であるフマル酸ヒドラターゼ (FH) 遺伝子の変異が原因で発症し常染色体優性遺伝形式を示す。様々な人口集団で、これまでに300以上のHLRCC家系が報告されている。

予後

多発性の皮膚平滑筋腫を呈するHLRCC患者のうちの、10-16%で腎がんを併発する。他の遺伝性腎がんとは対照的に、HLRCC関連腎がんは進行性であり、患者13人のうち9人は、診断から5年以内に腎がんの転移で亡くなっているという報告がある (Am J Hum Genet. 2003. PMID: 12772087)。

治療

HLRCC関連腎がんは早期発見が重要である。HLRCCに対する外科的腫瘍切除は、他の遺伝性腎がんと比べて、より早い段階でより広範囲に行うことが必要である。皮膚平滑筋腫に対しては外科的切除、凍結融解壊死療法、有痛性病変を取り除くレーザー治療が行われる。HLRCCの子宮筋腫は、孤発性子宮筋腫と同じように治療される。

Genes
Gene symbolOMIMSQM scoring*
Genomics England
PanelApp
PhenotypeVariant information
FH1508009CCHLRCC (AD)https://omim.org/allelicVariants/136850
*ClinGen Actionability Working GroupのSemi-quantitative Metric (SQM) scoring、Outcome/Intervention Pairに関する情報は https://clinicalgenome.org/working-groups/actionability/projects-initiatives/actionability-evidence-based-summaries/ を参照。
欧米人での遺伝子頻度

FH遺伝子のシークエンス解析により、HLRCC症例の70-90%で病的バリアントが同定されるという報告がある (GeneReviewsより引用)。また、多発性皮膚・子宮平滑筋腫においてFH遺伝子の病的バリアントは76%で同定されたという報告がある (Br J Dermatol. 2005. PMID: 16029320)。

日本人での遺伝子頻度

日本からは1症例のFH遺伝子解析に関する報告がなされているのみであり (J Dermatol Sci. 2007. PMID: 17768033)、現時点で日本人HLRCC症例における遺伝子頻度解析に関する原著論文は見当たらないようである。

掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/05/13