遺伝性圧脆弱性ニューロパチー (Hereditary Neuropathy with Liability to Pressure Palsies: HNPP) の特徴は、単一神経における、急性発症で再発性・無痛性の限局した感覚・運動ニューロパチーである。圧迫によって容易に単神経障害を生じ、特に橈骨神経、尺骨神経、総腓骨神経に多い。最初の発作は、通常10代から20代で起こる。男女に等しく発生し、常染色体優性遺伝形式を示し、PMP22遺伝子の1コピーの欠失が、原因の約80%を占め、残り20%はPMP22遺伝子内の病的バリアントによって生じる。診断の確定には、筋電図検査と遺伝学的検査が有用である。
HNPPの頻度は不明であるが 、100,000人あたり2-5人と推定されている。診断されていない症例もあり、実際の有病率はさらに高い可能性がある。フィンランドでの有病率は100,000人あたり16人という報告がある (Neuromuscul Disord. 1997. PMID: 9447611)。
急性ニューロパチーの症状は、通常完全に回復し、不完全であっても残存する障害は軽度である。ただし、軽度から中等度の末梢神経障害を示すこともある。
手首副子や、足首-足にかけての固定具などの一過性の支持具が有用なことがある。後遺症として下垂足が残存した患者では、恒久的な支持具の使用が必要になることもある。
Gene symbol | OMIM | SQM scoring* | Genomics England PanelApp | Phenotype | Variant information |
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PMP22 | 162500 | 7CC | HNPP (AD) | https://omim.org/allelicVariants/601097 |
PMP22遺伝子の欠失/重複変異解析により、HNPP患者の~80%で原因となる欠失/重複の病的バリアントが同定され、さらにPMP22遺伝子のシークエンス解析により、残り~20%の患者で病的バリアントが同定される (GeneReviewsより引用)。
現時点で、日本人HNPP患者における遺伝子頻度解析に関する原著論文は見当たらないようである。