Knowledge base for genomic medicine in Japanese
掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/05/21
ファブリー病
小児・神経疾患
OMIM
MedGen ID
GeneReviews
指定難病等
要注意の転帰
腎不全
心不全
脳梗塞
検査の保険適用
あり
概念・疫学

ファブリー病は、細胞内ライソゾームにあるαガラクトシダーゼ (α-GAL) の遺伝子変異により酵素活性低下をきたし、全身の細胞でグロボトリアオシルセラミド (GL-3) という糖脂質が分解されず進行性に蓄積するために引き起こされるライソゾーム病であり、X連鎖性遺伝形式をとる。古典型はα-GAL活性が1%未満の男性に起こり、通常、小児期あるいは思春期の発症で、周期的な四肢の激痛発作 (acroparesthesias)、血管皮膚病変 (angiokeratomas) の出現、減汗症、特徴的な角膜・水晶体混濁、タンパク尿などで始まる。次第に腎機能が低下し30-40歳代で腎機能は廃絶する。腎不全が良好に管理されている男性患者でも、中年期以降、多くの症例で心血管病変、脳血管病変が進行し、これらが主たる死因となる。ヘテロ接合保因者の女性では、生涯を通じて無症状である場合、加齢とともにいくつかの症状が出現する場合、あるいは稀には古典型男性と同様の重い症状が出現する場合の3通りがある。一方α-GAL活性が1%以上の男性患者では心変異型 (cardiac variant) か腎変異型 (renal variant) の病型を呈する。心変異型は、通常60-80歳代で左室肥大、僧帽弁閉鎖不全、心筋症、タンパク尿にて発症するが腎不全はきたさない。臨床症状、家族歴からファブリー病が疑われる男性では、α-GAL 活性測定により著明な低下が認められれば診断確定となる。遺伝学的検査は補助診断となる。

典型的なファブリー病の発症率は、欧米人で40,000人に1人と推定されていたが、左室肥大や心筋症の中での心ファブリー病の頻度は3-4%とされ、ファブリー病全体の実際の頻度は10,000人に1人程度と推定されている。多くが、学童期までに発症する。

予後

古典型では、緩徐進行性の腎機能廃絶及び尿毒症が、一般的には20-40歳代で起こるが、10歳代で起きた例も報告されている。血液透析や腎移植を行っても最大の死因は腎不全である。腎不全の治療を行わなかった古典型男性患者の平均死亡年齢は41歳であるが、60歳代まで生存するケースも存在する。一方、心変異型と腎変異型の平均寿命は60歳を超えている。

治療

組換えヒトα-GALを用いた酵素補充療法及び各症状に対する治療を行う。日本では現在、ファブリー病の酵素補充療法治療薬として2つの遺伝子組換え製剤が認められている。酵素補充療法の開始時期については、男性の場合はファブリー病の症状が1つでも出現したとき、女性の場合は明確な開始時期の基準はないものの、明らかな臓器障害を認めるときと考えられている。

Genes
Gene symbolOMIMSQM scoring*
Genomics England
PanelApp
PhenotypeVariant information
GLA3006448CA/7CAFabry disease (XL)https://www.omim.org/allelicVariants/300644
*ClinGen Actionability Working GroupのSemi-quantitative Metric (SQM) scoring、Outcome/Intervention Pairに関する情報は https://clinicalgenome.org/working-groups/actionability/projects-initiatives/actionability-evidence-based-summaries/ を参照。
欧米人での遺伝子頻度

GLA (galactosidase alpha) 遺伝子のシークエンス解析により、α-GAL酵素活性低下が認められる男性患者の95%において同遺伝子の病的バリアントが同定され、5%以下の患者では重複/欠失変異が認められたという報告がある (J Clin Invest. 1989. PMID: 2539398)。

日本人での遺伝子頻度

ファブリ―病の115家系においてGLA遺伝子変異の頻度を調べた結果、95%において同遺伝子の病的バリアントが同定されたと報告がある (J Hum Genet. PMID: 30988410)。

掲載日: 2019/10/10更新日: 2020/05/21